明治生まれの祖母がいた。残念ながらあまり大人として話した記憶がないが小さいころはとても可愛がってもらっていた。ほんのりと柔らかい印象がある。
頭を撫でてもらって「繻子のような髪だね」といつもいつもほめてくれた。
私はとてもおとなしい子どもだったので「ほかに褒めるところはないんだろうか」と思いつつ、黙って膝に座っていた。
若いころから料理をほとんどせず、お菓子ばかり食べていたらしく、小さいころ預かっていた孫はそのせいでアトピーになったとか(実際ごはんを食べたことがなかったらしい)私もとにかくお菓子だけは沢山買ってもらった。
遊びに行くと蒸しパンをよく蒸したり、羊羹を作っていたり。私は蒸しパンもようかんも祖母の作ったものしか食べられなくて、ほんとうにおいしかった。ただ趣味の菓子作りではなく、結婚前に仕事としてやっていたらしい。
家の中は結構散らかっていて、冬に遊びに行くと布団敷きっぱなしで、中には炭火の入った行火(あんか)が入れてあった。
当時は普通に部屋の中で七輪を使っていて、大人たちはよくそこにたばこの灰を落としていた。
祖父母ともたばこを吸っていたし、七輪は部屋の中にあった。よくやけどしなかったな、今思うと。
とりとめのない祖母の思い出がこの頃よく思い出すようになるのは、自分に娘が生まれてから。ほんとうにときどき祖母の気質みたいなところが娘にちらっと見える。これが遺伝なのかしら。人によっては生まれ変わりというかもしれない。
こう感じるのは私だけではないらしく、たまにしか会わない弟ですら、ばあちゃんを思い出す、というので驚いてしまった。
もう会えないんだけど、ちょこっと顔を出してばあちゃんに触れた気持ちになれる。
ずっと続いていくというのはこういうことか、と時々ふうっと思うことがある。
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